現在の宮澤エマさんの快進撃を支えているのは、過去の作品で刻んできた「伝説的」とも言える名演技の積み重ねです。
特に視聴者の間で語り草となっている『鎌倉殿の13人』と『らんまん』の2作品にスポットを当て、当時の熱狂的な反響を振り返ります。
1. 『鎌倉殿の13人』:北条実衣 役
「全成の死」と「尼将軍誕生」の引き金
三谷幸喜脚本の本作で宮澤さんが演じたのは、北条家の次女・実衣。物語序盤は毒舌でマイペースなコメディリリーフでしたが、終盤、彼女はドラマ最大の「泣きどころ」と「転換点」を担いました。
- 伝説のシーン:夫・全成の最期(第30回) 謀反の疑いで処刑された夫・全成(新納慎也)の最期を、泣き笑いしながら「やってくれましたね。最後の最後に……」と称えたシーン。SNSでは「実衣の涙にもらい泣きした」「この夫婦が一番の癒やしだったのに」と、いわゆる「全成ロス」とともに宮澤さんの演技力に称賛が相次ぎました。
- 尼将軍を動かした「死にたくない」の叫び(第46回) 権力争いに巻き込まれ、実の兄・義時に命を狙われた実衣。牢の中で姉・政子(小池栄子)に漏らした「姉上、死にたくない……」という弱々しい本音。これが、政子が「尼将軍」として立つ決意をさせる決定打となりました。「宮澤エマの無防備な演技が、政子の覚悟を完成させた」と、物語の根幹を支える準主役級の評価を得ました。
2. 連続テレビ小説『らんまん』:笠崎みえ 役
寿恵子を叱り飛ばす「江戸っ子の矜持」
朝ドラ『らんまん』では、ヒロイン・寿恵子(浜辺美波)の叔母・みえを演じました。新橋の料理屋の女将として、時に厳しく、時に情に厚い姿は、視聴者に強烈な印象を残しました。
- 伝説のシーン:寿恵子への叱咤激励(第103話) 生活に困窮しながらも夢を追う寿恵子に対し、「あんたね、よくもおめおめと顔出せたもんだね!」と激しい口調で叱り飛ばすシーン。しかし、その根底には姪への深い愛情があり、最終的には商いの道を説く。この「厳しいけれど愛がある」江戸っ子の体現に、「エマさんの歯切れの良いセリフ回しが最高にカッコいい」「叔母さんのバカ!という言葉が優しく聞こえる」と絶賛の声が上がりました。
3. なぜ「伝説」となったのか?
当時の反響を分析すると、共通するキーワードは「セリフの説得力」です。
- ミュージカル仕込みの「間」と「響き」: どんなに激しい感情のシーンでも、言葉が濁らず真っ直ぐに届く。これが視聴者の感情を揺さぶる大きな要因となりました。
- 「お嬢様」から「市井の女」まで: 実衣(鎌倉時代)も、みえ(明治時代)も、全く異なる時代背景でありながら、その時代の空気を完全に纏っていました。「宮澤エマが出ている回は外れがない」という信頼感は、この時期に完全に定着したと言えます。


